晴れ時々推し

令和時代はアラサーオタクには厳しすぎる

サクラローレルのガチャ代を稼ぐためにベラジオオペラに賭けたら、夕飯が冷奴になった男の話

 ガチャというものは悪しき文化だと思う。


 アプリゲームは最初のゲーム代を支払わなくていい代わりに、ガチャという課金システムで運営資金を賄っている事が多い。

それ自体はいいが、例えばの話、かわいい女の子キャラのストーリーを楽しむために6万円かかると言われたら、どうだろうか?

 

おそらく大半の人がそれはお金がかかりすぎだろと思う筈だ。

 

 思わないのであれば、それは立派な課金脳になっている。

私が巧妙だなと思うのは、配布される石を貯めておけば手に入るようにしてある点だ。かわいい女の子キャラが実装されたとして、配布の石を貯めてさえおけば、無料で手に入る。


つまりは予め準備してこなかった自分が悪いとも思わせる事ができる。
しかし、無料の石を天井分まで貯めるというのは中々に大変だ。
そのゲーム自体をかなりプレイしないといけない。


忙しい社会人には難しい話だ。
特に色々な趣味があるオタクならば、そのゲームだけをする訳にもいかない。
何にどれだけ時間を掛けるか、時間の使い方も大切になってくる。

 

 そういう意味では今のアプリゲームは巧妙に出来ている。
どうやって、自分のゲームに『時間』と『金』を使わせるか。
そこを意識して作られている。
どこまで時間と金を注ぎ込むかはオタクの課題になりつつあるのかもしれない。

しかし、そんな自制心など打ち砕くかのように、どのゲームも魅力的なキャラクターを出してくる。
練り上げられたストーリーに引き込まれて、気付いたら底無し沼に沈んでいた。
恐ろしい話だ。
明日の昼食代がいつの間かガチャ代になっている。

 

 そもそも今のアプリゲームというのはスタートは無料で初心者ガチャなどと言って、ガチャで当たる快楽を脳に植え付ける。アレは一種の脳内麻薬だと私は思う。
欲に負ける己が悪いのは当然としても、やはり悪しき文化だと思う。

 

 

 

 

 4月16日、日曜日

 

 私はウインズ神戸にいた。
目的は競馬でガチャ代を稼ぐためだった。

6万円の大金をポンと出せるほど私は金持ちではない。

私はギャンブルというものが昔から嫌いだった。
当たる快楽に溺れ自分を抑制できず、一時的に金を得ても最終的には損をしている。
そんな大人には決してなるまいと子どもの時は思っていた。

 

 

 ベラジオオペラを軸に3連複、あとはタッチウッドで馬連をいくつか買うか。

 

 

 馬券の発売機に3,000円を入れた。
私にとって3,000円は大金だ。
3,000円あれば、美味しい料理屋に行って飲み食いできる。
サイゼなら豪遊できる。
スタバなら新作を3回飲める。
だから、競馬をする際のマイルールとして、3,000円以上は買わないという縛りをしている。
そうしないと、ズルズルと賭ける金額が増えていく性格だという事は自分がよく知っている。


しかし、ウマ娘のガチャだと10連しか回せない。

3,000円=1500ジュエル=10連

天井は200連=30,000ジュエル=60,000円

 

こうやって見ると中々にすごい

 ちなみに私が買った馬券が当たったとしても、よくて3万円くらいだ。
3,000円しか出せないのなら、3連単で勝負すべきなのに、3連複でお茶を濁す
その時点で既に言動に矛盾が出てきているが、ここで日和るのが私という人間なのだ。
常に負けた時のリスクやトリガミ(馬券が当たっても、購入金額より低い金額が当たり損をする事)を考えてしまう。なんともタマの小さい話だ。
自分にキン◯マはちゃんとあるのかと思う事もあるが、悲しい事にちゃんとついている。

 

 

 言い訳をするわけではないが、皐月賞は予想が難しい。


有望馬がたくさん出走しており、どの馬からも可能性を感じる。更に逆神として有名なお笑い芸人の粗品と本命が丸かぶりしたのも、3連単を買えなかった原因だ。


私は何度も粗品と本命が被り、その度に負けていた。
ベラジオオペラの3連複を買いながら、タッチウッドの馬連を買ったりしているのがそれだ。

 

 そして、他人の言動で心が揺らぐ時点でこの勝負は負けていた。

 

昔、信じた馬に単勝で1200万円近くの大金を賭け、2億円を稼いだ男性がいたが、彼のように腹を括って金を賭けられないのであれば、大金は手に入らない。

 

 後から振り返れば、こうツラツラと述べられるが、馬券を買った時はこれで完璧だと思っていた。

そういうものなのだ。
馬券を手にして、これでサクラローレルをお迎えできると本気で思っていた。

 

 

 

 


 ソールオリエンスの末脚は素晴らしいものだった。


ウインズ神戸のモニターで観戦していた時、周りのオッちゃん達も「嘘やろ!!!」と驚いていた。
いいものを見る事ができたと私は思った。
馬券に使った3,000円はソールオリエンスの素晴らしい走りへの投げ銭をしたと自己解釈をし、私はウインズ神戸を去った。

 帰り道、地元の小学校の桜の木は緑色の葉が力強く芽吹いていた。
そう桜は花が散っても、1年をかけて成長し、また花を咲かせる。
サクラローレルも怪我に泣かされながらも、大輪の花を咲かせた。

 

私は桜の木を見て誓った。
必ずやサクラローレルを迎えに行くと。


 その夜は冷奴を食べた。
豆腐というものは素晴らしい食べ物だと思う。
料理の主役にも脇役にもなれる。
そして、何より安い。
スーパーで3個入り78円だった。
私のような稼ぎなし、多趣味オタクが金を用意するには日々の小まめな節約が大切なのだ。
ウマ娘プリティーダービースターブロッサムを読みながら、改めてそれを実感した。

 

 

 

 

 

4月19日水曜日

 

 

 

…………

 

 世の中というものは計画通りに上手くいかない事を30年近く生きてきて、ようやく理解してきた。
私が貯めたジュエルをどう使うのかは私の意思次第だ。
ヒシミラクル、めっちゃかわいい。

まずは無料石を貯めつつ、しかし万が一の事態に備えて、ガチャ代を用意しておく必要があると私は思った。

 

天皇賞春、ディープポンド

 

2021年有馬記念、2022年阪神大賞典で勝たせてくれた彼を信じて、私は今日も冷奴を食べる。