晴れ時々推し

令和時代はアラサーオタクには厳しすぎる

スタバで悪魔の実の能力に目覚めたかもしれない話

 本当は焼き栗ラテが飲みたかった。

私は完全に口内をモンブランにしていたのだが、無情にも「sold out」の文字がメニューには貼られていた。

仕方がないので、せめて秋感を少しでも感じようと「パンプキンスパイスラテ」というものを頼んだ。文字通り謎のスパイス感があった。それにシナモンの香りが強く、肝心要のパンプキンの在処を見つけられずにすすっていく。

 

これならば居酒屋でビールでも飲めばよかったか。

 

実を言うと迷っていた。

 

ここのところ、引っ越しの準備と仕事で忙しく息抜きらしい息抜きが出来ていなかったのだ。

ホントを言うならお気に入りの台湾料理店でビールを魯肉飯と共に堪能したかった。

しかし、明日も引っ越しの準備がある。

子ども部屋おじさんから独身貴族おにーさんにランクアップ出来るチャンスなのだ。

アルコールは控えたい。今は我慢しよう、だがせめて一息はつきたい。

その結果のパンプキンスパイスラテだった。

つまりは今すすっているパンプキンスパイスラテは妥協に妥協を重ねた結果なのだ。

 

夜も7時を回り、カップルで賑わう中、私は未だパンプキンの居場所を探している。

半分飲んでもやはりパンプキンは現れない。

私が頼んだのはシナモンラテではないのか。

一応レシートを確認してみた。レシートにはパンプキンスパイスラテと印字されている。

何故みんなコレをパンプキンとして受け入れているのか。

誰か声をあげたりはしなかったのだろうか。

ゴクリと飲み「これシナモンラテやんけ!!!」と突っ込んだ関西人はいないのか。

もしかしたら、私と同じような思いをしている人が居るかもしれないと周りを見回りしてみた。

残念な事に会話を楽しむカップルや夫婦しかいない。

完全に孤軍となってしまった。

元よりソロプレイだが。

私のアスナはまだ見つからない。

 

 

 BGMに流れるフランク・シナトラの「ニューヨーク・ニューヨーク」を聴きながら私はさらに思考を深めた。

 

 スタバというのは面白い所だと私は思っている。

個人経営の喫茶店のようにコーヒーが特別美味しいわけでも、コメダ珈琲のように食べ物がアホみたいに多いわけでもない。

微妙に高いが、客が逃げるほどではない絶妙の金額設定と私のような流行り物に弱い人間をターゲットに話題性のあるドリンクを提供してくる。

そして、私はいつもタイミングが悪く話題のドリンクを飲めず、妥協をする。

妥協に妥協を重ねる男。

ワンピースならダキョダキョの実を食って笑い声は「ダッキョッキョ」にされている。

ワンピースの世界線に生きていなくてよかった。

実はこのパンプキンスパイスラテはダキョダキョの実を使ってあるのかもしれない。

だから、ここまでパンプキンの居場所がないのだ。

スタバのドリンクのクオリティに対しての謎の人気の高さもドフラミンゴが背後にいるのなら納得もいく。

私はここまで考えてようやくパンプキンスパイスラテを頼んだという事実を受け入れる事ができた。

 

 パンプキンスパイスラテを飲み干した後もまだシナモンが喉の奥に張り付いている。

自分がダキョダキョの実の能力者に完全覚醒したのを感じたので、リュックからスケジュール帳を出して明日やるべき事を書き記した。

 

妥協の末に上手くいくこともたまにはある。

もうパンプキンスパイスラテを飲むことはないだろうが、ダキョダキョの能力に覚醒したのなら550円も安いのだと心穏やかに矛を収めることもできる。

 

ありがとう、尾田先生、ありがとう、ドフラミンゴ

 

パンプキンが全く感じられないパンプキンスパイスラテ

 

 

 

追伸

月見バーガーが食べたいと思いながら毎年食べられないのはダキョダキョの実の力だと思う。

早く食べたい。